練り込み陶芸入門
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1-2 粘土について

 陶芸の窯は小さな火山
陶芸用の粘土の多くは岩石などが雨や風などで削られ小さくなり、流され堆積してできたものです。この粘土を陶芸の窯で1,200−1,300度で焼くと、粘土は熱で熔けて焼き締まり、冷めると石のようになります。やきものは人間がつくった火成岩といわれ、風化して堆積した粘土を窯の中で石に戻したものといえます。日本は火山が多く、噴火等、火山活動がニュースになりますが、あの噴火口から噴き出すマグマも1,300度以上といわれ、陶芸の窯はたとえればまさに小さな火山です。


薪窯の焚き口(大戸窯:群馬県吾妻郡東吾妻町)


  粘土について
粘土のいちばんの特徴は可塑性で、つまんだりくっつけたり、のばしたり、自由にかたちをつくることができることです。粘土の粒子を拡大してみると、粒子には平らなガラスのような面があり、表面に水の皮膜があるので、水の表面張力によって粒子が互いに強く引きつけられています。濡れたガラスの板同士を張り合わせるとくっついてしまい、はがしにくくなるのも同じことでこれも水の表面張力によるものです。
また、粘土を繰り返し使っているとひび割れやすくなりますが、これは粘土の粒の表面の水の皮膜がなくなってしまったからで、水を加えて練り直し、しばらく寝かせておくと戻ります。粘土はさわっているだけで、手のぬくもりで表面が乾いてきます。作品を手早くつくるのも可塑性を失わないポイントです。


 水簸(すいひ)で粘土を集める
身近にある山や空き地の粘土質の土を集め、水を加えてよくかき混ぜます。しばらく経つと、礫や砂は沈殿し、草木片、腐葉土などが浮かび、にごり水ができます。このにごりの正体は粘土です。このにごり水だけを他の容器に移し、さらに放置するとにごりの中の粘土はほとんど沈殿し、上ずみ液はきれいになっています。この上ずみ液を流すことで、沈殿した粘土を集めることができます。この方法は水簸といわれ、非常に細かい粘土を精製するのに利用します。土の成分にもよりますが、工夫次第でほとんどの場合、やきものの原料として利用できます。実際にやってみると、苦労する割に集まる粘土は少ない大変な作業です。良質な粘土を探すのは大変ですが、原料からからやきものづくりに取り組むこともできます。
今回の「練り込み」で使う粘土は、窯業の専門店でブレンドされた「白水簸」で、信楽の粘土がベースの焼き上がりの白い粘土です。


 粘土の収縮
粘土は、乾燥するときと、焼成されるときに12〜15%程度収縮します。
乾燥するときは、粘土の粒子をとりまいている水分が蒸発し、粒子が互いに接近するためです。焼成による収縮は、粘土に含まれる珪酸分が、媒熔原料と結合してガラス化し浸透するためです。


 もう少し専門的に粘土について
土のなかの粒のうちで、大きさ(粒径)が2mm以上のものを礫(小石)、それ以下のものを土粒子といいます。土粒子はさらに2〜0.2mmのものを粗砂、0.2〜0.02mmを細砂、0.02〜0.002mmをシルト、0.002mm以下のものを粘土と区分されています。
ですから粘土の粒子を見るためには、電子顕微鏡が必要で、さらに小さい粘土粒子は0.002μ(ミクロン=1千分の1mm)のものもあります。タバコの煙のなかの粒子が0.1〜0.01μといわれていますので、粘土粒子がいかに小さいかが分かります。
またやきもので使う粘土の化学成分については、簡単に言えばアルミナ*と珪酸と水で、いわゆるこのような化学成分の粘土(粘土鉱物)を多く含んだ土がやきものに適しています。
*アルミナ(Alumina) 酸化アルミニウム。アルミニウムを強く熱して得る白色の粉。


 さらに粘土鉱物について
やきもの(窯業原料)で使う粘土鉱物の代表的なものは、珪酸塩鉱物のカオリナイト (Kaolinite:Al4Si4O10(OH)8)です。外観は白色の塊状〜土状ですが、電子顕微鏡で見ると六角板状の結晶になっているそうです。
長野県の真田町にかつてろう石を採掘していた鉱山があります。そこにカオリナイトがあると聞き、原料からやきものづくりに挑戦しようと、生徒と採集に出かけたことがあります。採集した一部を国立科学博物館に送り、鉱石の鑑定と分析を依頼したところ、「石英を多く含むカオリナイト」との回答があり、さらに「窯業原料として使えるとは思われますが、恐らく可塑性に乏しく成形に苦労すると思います。粉砕など処理法に工夫が必要でしょう。」とアドバイスもいただきました。鉱石をハンマーでたたき粉砕、精製しましたが、粘りがなくヒビが入りやすいもので粘土らしくはなりませんでした。それでもなんとか成形し、透明釉をかけて焼くと、純白の磁器のようになりました。


カオリナイト(長野県小県郡真田町 信陽鉱山)と作品



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